フレックス勤務ができるのは正社員だけ?制度の特徴や雇用形態をチェック

昨今では、新しい暮らし方、そして新しい働き方を求められることも少なくありません。「今はこういった働き方があるんだな」と気付くことは、自分の働き方を考える機会にもなります。

また、企業で管理職をしている場合には、部下から「うちの会社ではリモートワークとかを取り入れないのですか?」と聞かれることもあるでしょう。

企業における新しい働き方に対する興味・関心は高まっているといえます。そうした背景もふまえたうえで、この記事では、「自社で新しい働き方を取り入れたい」と考えている人に知ってほしいフレックスタイム勤務についてふれていきます。この機会に改めて会社の制度について把握しておきましょう。

正社員のみが利用できる制度?フレックス制とは何か

フレックスタイム制は、労働者が総労働時間を把握したうえで1日の労働時間を設定できる制度のことを指します。たとえば、今までは9時-18時という決められた時間で仕事をしていた人が「8-17時」や「10-19」といった、自身にとって働きやすい時間帯を選ぶことが可能です。
日本では、1998年から導入されました。

また、フレックスタイム制というのは正社員だけが使える制度ではありません。あくまでもどのような働き方をするのかといった勤務形態を示したものだといえます。

そして、労働基準法によると「1ヶ月を上限とする一定期間内(この期間を清算期間とよびます)の総労働時間を改めて定めておき、労働者はその範囲内で各労働日の労働時間を自主的に決定して働く制度(労働基準法第32条3項より)と決められています。そのため、働き改革を推奨する日本ではフレックスタイム制の導入も推奨されている状況です。

知っておきたい【コアタイム】【フレキシブルタイム】について

フレックスタイム制を企業で導入をする場合、「コアタイム」「フレキシブルタイム」と呼ばれる労働時間帯について知っておく必要があります。

「コアタイム」は、フレックスタイム制を利用している従業員が必ず勤務をしていなければならない時間帯です。そして、「フレキシブルタイム」は「その時間帯の中であれば出社、退社しても構わない時間帯」を意味します。

たとえば、フレキシブルタイムをAM7:00-19:00で設定したとしましょう。そして、コアタイムは10-12時の間と13-15時の時間帯に設定をすると、早くて7時~15時退社、遅くても10時~出勤をすることになります。場合によっては、「勤務時間を自由に選択できるなら夜中に働きたい」と考える従業員もいるかもしれません。しかし、職種によっては夜中に仕事をする意味がない職種も多く、数名の従業員のためだけにオフィスを解放するとコストもかかるため、フレキシブルタイムの設定は必須だといえます。

ただし、コアタイムは必ず定めなければならない時間ではない点を把握しておきましょう。

正社員以外でも利用ができる!フレックス勤務の【メリット】とは

ここからはフレックスタイム制を導入することで起こりうる「メリット」をみていきましょう。

ワークライフバランスの向上につながる

ワークライフバランスは、「仕事と生活の調和」という意味の言葉です。たとえば、賃金がいい会社で働いていたとしても、残業が多くプライベートの時間を全く確保できない企業で働いている場合は、ワークライフバランスがよいとは言えません。そして、そういった状態の企業でフレックスタイム制を導入すると、「勤務時間の選択を自由に行える」という制度自体が魅力となるといえるでしょう。

たとえば、朝型で普段早起きをしている人で「9時からではなく、もっと早い時間帯から働きたい」と思うこともあるでしょう。この場合、7時から働くことができる選択肢があれば、7時に出勤、早々と仕事を終わらせて15~16時ぐらいに帰宅するといったことが可能となります。加えて、プライベートの時間を大切にすることもできるでしょう。
フレックス制度を導入することで社員のワークライフバランスが向上する可能性が高まるといえます。

残業時間などの労働負担が削減される

フレックスタイム制は予め設定された時間内であればいつでも出勤・退勤を行ってよい働き方になります。仮に、コアタイムの設定をしていない企業で勤めている人が8時に出勤をして仕事を開始したところ、その日は業務を進めるペースが早く14時に仕事が終了することもあるでしょう。

この場合、フレックスタイム制を導入していなければ、休憩1時間の8時間勤務となり、17時退社まで待つ必要があります。また、早く帰った場合の時間は、業務が長引いた日の残業時間として使用できるため、労働負担が軽減されます。

従業員の離職率が減り、優秀な人材を確保できる確率が高くなる

企業がフレックスタイム制を導入する最大のメリットは、社員のワークライフバランスが向上することで離職率が減少することです。働きやすい会社ほど離職率は低いものといえます。

また、フレックスタイム制の導入をしていることをアピールすることで、優秀な人材が中途入社をしてくれる可能性も高くなります。優秀な人材ほど「居心地のよい環境が確保されている会社」を意識しているためです。

優秀な人材は、働ける会社の選択肢が多くあるからこそ「働き方」や「雰囲気」の重視して働こうと考えていると想定できます。そのため、フレックスタイム制などの「働き方改革を意識する姿勢」を見せることで優秀な人材の定着を図れるとえるでしょう。

導入前に知っておきたいフレックス勤務のデメリットについて

フレックスタイムを導入するメリットには、優秀な人材が集まりやすい、離職率が下がるなどの効果があります。そのため、「自社でも導入しよう」と思われる担当者の方もいるでしょう。

しかし、フレックスタ勤務にはデメリットもあります。そのため、ここで触れるデメリットを加味したうえで導入を検討してみましょう。

勤怠管理が難しくなる

新しい制度を導入するということは簡単なことではありません。たとえば、勤怠管理も以前とは変わってくると想定されます。たとえば、今までは全員の出勤と退勤時間が毎日一定だったとしまょう。しかし、フレックス制では一人一人の出勤退勤時間が毎日変わるため「今日は何時に出勤をしたのか」「実際に働いたのは何時間か」などルールを決めなければ、勤怠管理が難しくなります。

また、勤怠管理を雑に行った場合には、給与計算が正しく行われない可能性もあります。そのため、フレックス制の導入を考えている場合、勤怠管理方法の見直しは必須です。

取引先との時間が合わない可能性が出てくる

フレックスタイム制を導入すると起こりうる可能性が高い問題が「取引先との時間が合わなくなること」です。実際にフレックスタイム制を導入している企業は現段階では多くはありません。

たとえば、取引先が営業時間に電話をかけた場合、本来であればすぐに担当者に取り次ぐことができます。しかし、フレックス制では「申し訳ありません。本日はまだ出社しておりません」などの返答をしなければならないことも想定できます。取引先からすれれば「いつ電話をすればよいのか分からない」「連絡が遅い」などの不満を感じやすく、トラブルになってしまう可能性も考えられます。

対策として、コアタイムの設定や緊急時は業務用携帯への連絡を伝えるなどのルールを決める必要があるといえるでしょう。

フレックスタイム以外で社員の【働き方改革】ができる制度はあるのか

フレックスタイム制は「自由に出社時間を選べる制度」だといえます。そのため、働き方改革を考えている企業は導入を検討しているケースも多いでしょう。しかし、企業の中には「働き方改革はしたいけど、うちには合わない」と感じることも少なくありません、「他にできる働き方改革はないのか?」と考えている場合は「テレワーク」なども選択肢の1つといえます。

テレワークはは在宅勤務のことです。時間や場所の制約を受けずに働くことができ、働き方改革の1つとして導入が推奨されています。働き方を変える場合は自社に合う働き方を探すことが必要にです。

まとめ

この記事では、フレックスタイム制について解説しました。導入するメリットは多く、社員の離職率の低下や優秀な人材を確保できる可能性が高くなります。

しかし、デメリットとして勤怠管理や緊急時対応などのルール作りが必須となります。自社でフレックス制を導入をしたいと考える場合にはルール作りからスタートしましょう。